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いまのお父さん
「――たっだいま~」
「あら、ナナちゃんおかえりなさい。末信はどうだった?」
「ちゃんと学校行ってましたよ」
そ〜う、とリビングで何かの本を見ている末信ママ。靴を脱ぎ並べた精霊バナナ·ガールのナナは気になり、
「何見てるのママっち」
「これはね、ワタシの若い頃のアルバムなのよウフフッ」
恥ずかしそうに微笑む末信ママのアルバムを見せてもらうとそこには白いシャツとショートパンツ姿の若々しい末信ママと部活だろうか仲間たちの姿。
「へ〜お母さん可愛い〜いチョベリグって感じ〜」
「キャッ、ナナちゃん、褒めても何も出ないわよウフフ」
「ラケット、テニス部か〜」
「そうなの、こう見えても昔はサーブをバシンバシン打ったのよ、えいってね」
卒業して今の末信パパつまり旦那さんと結婚してからテニスとは無縁になったと言う末信ママ。
昔話をしながらめくっていくと今度は、
「あ、この写真もしかして」
「そうよ、お父さんなの」
「えっ」ナナが引くのも無理はない。アルバムに載っている末信パパは今のタプンタプンお腹とは違う、たくましいラグビー部のカッコイイ姿。
「お父さんカックイイね〜」
「でしょ〜、この頃のお父さん、すんごくカッコよかったわ〜、ハ〜ッ」
天井を見上げながら過去の記憶に目を光らせる末信ママであった。
「でもいまは・・・」
「さっ、お掃除を始めましょっナナちゃん」
「超OPPか〜」意味は、超お腹ポンポン······。
――キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコォーン。
「というわけで中休みです、では」
バタンッ、和林先生が扉を閉めるとガタガタガタンと各生徒がそれぞれの行動を起こしていく。
「ああ〜、終わった〜、頭から煙プシューだぜ〜」
椅子にもたれ天井を見上げ教室の扇風機で涼む末信、目を閉じ風を感じていると「いくぞーっ、エイホーッエイホーッエイホォーッ!」外から声が、2階の窓から覗くと、野球部の者たちの元気な声。
「こんな暑いのによくやるよ。頑張るね〜」
まるで別世界の人間のように遠く感じるほどの暖冷の差。
「そんなのより俺の夢は〜・・・」
机で本を読む桜子に目を向けニタニタと鼻の下を伸ばしだす。
「デヘヘッ、観てるだけで目の保養だぜ〜」
だがすぐに覚める声が、
「あのね、バナナは〜便秘とか冷え性とか改善にいいの」
ふむふむと興味ある女子たちに指導しているよく知っているギャルだ。
「ビタミンBとかビタミンCも豊富だから〜、みんなもキレイに」
「ナナァァッ!」
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