アツいナナ

1/1
前へ
/109ページ
次へ

アツいナナ

 ミーンミーンミーンみが4つと言わんばかりに今日も学校で蝉が鳴く。 「う〜む攻略その1、桜子(ようこ)さんは最近魚にハマっている」  精霊バナナ·ガールことナナに貰った『対桜子ちゃん用攻略紙』をあれから3日間ずっと熟読し対策を練っていた末信(すえのぶ)だった。 「そのため図書館では古いお魚図鑑を常に読んでいる、中でも太刀に似てるから太刀魚が本人には面白かったという。熱弁する桜子ちゃんはカワイイね・・・当たり前だろ」  と、このようにあんなにナナのことを危険視していたにも関わらず放置するほど桜子に夢中であった······。  一方で、 「フンフンフーン」  ナナは鼻歌を歌いながら今日はバナナを語るか、ギャルを語るかと中休みに廊下を歩いていた。とそこに彼女を待っていた女の子が、 「あ、あのっ、ナナ、さん」 「ありゃ、桜子ちゃん」  前回はなしをした桜子はあれから3日の間にナナが積極的に話しかけた結果、心を許してきていた。 「その・・・」頬を赤らめてもじもじしているが、ナナは広角を上げニコッと「どうしたの」安心させるような声にようやく、 「あの・・・ナナさんと話したくて」  なんだそういうことかと、 「いいよ、一緒にお話ししよ」 「は、はい!」  2人は教室に入り適当な椅子に座ったナナと机で話すことにした。 「さあ、なに話そうか?」 「え、え、えっとー・・・」  緊張しているのかそれとも話すのが苦手なのかなかなか言葉が出てこない桜子。 「どどど、どうしてっ、バナナなんですか?」 「へ?」 「お話してくれたときから、ずっと気になっていたんです。ナナさんってバナナのイヤリングとか、バナナのヘアアクセサリーにバナナのネイル、バナナのTシャツとか」  これでもかというほどの全身でのバナナアピール。 「たしかに、あたしのこのフアッションはウザいかもしれない・・・」 「そ、そういうことは」 「でもね、桜子ちゃん」  なぜか立ち上がり窓の外を眺めに連れていき、 「たとえ『バナナ強調しすぎでウザい』と言われようと『どうしてバナナ? 草』と書かれようと、自分の好きな物を、好きと貫くのがギャル道なのよ!」  桜子は太陽を見上げるギャル・ナナの姿にを感じる。  空を見上げた肝心のナナは振り向き、 「思ったよりわ、机に戻りましょう」  本当に暑かっただけだった······。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加