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隆佐は、「ハアー」と叫んで、太郎の顔をまじまじと見た。
確かに聞きようによっては突拍子もない話だ。
「そないな彗星を呼び寄せるなんて、あんた、そんなんが人間にできるわけあらへんやろう」
「できそうな人間が一人だけいます。神にも近い存在の人が」
太郎がそう言うと、隆佐は最初ピンとこないようで、まさかという表情を見せたが、太郎が真剣な表情を一向に崩さないのを見て、何かに気づいた顔に変わった。
「もしかして、いやまさかあの方」
「そう、あれは呪いによって呼び寄せられたんです。そう考えれば全て辻褄が合います」
「待て、まだわしには分からん。帝がなんでそんなんをする必要があるんや」
「自連と自連を作った私の父が気に入らないからです」
「なんと……」
隆佐はまだ納得がいかない様子だった。
帝が自連と勝悟を嫌う理由が分からないからだ。
「理由を訊いてもええかね」
「はい。自連の国是は民のための国造りです。全ての民が夢を持って生きていくことを助けるを国の第一としています。従って血筋や家柄は、自連で生きていく上では必要ありません。それは帝やその周りの貴族にとっては心地よいものではないはずです」
隆佐の顔にやっと納得した表情が戻った。
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