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「なるほど。ようやく理解できた。そやけどそら自連の中だけの話で、自連が侵掠を是にしいひんのなら、帝や貴族たちには関係あらへんやろ」
「もし、それで自連国内がうまくまとまり、経済的にも大きく豊かに成れば、他の地域でも自連の考え方を取り入れようとしませんか」
「そらあするやろう。そうか、そやさかい気に入らへんのか」
隆佐も困り顔に成った。
帝が自連を潰そうとするのも分かるからだ。
「それで高天原には何しに行くんか」
「帝の力を知るために、皇室の成り立ちから調べてみたいと思いました」
「そらたいそうやなぁ」
現在の帝、正親町帝は第百六代天皇だ。初代神武帝から二千年もの時が流れている。
神話で伝えられる天照大御神など、例え高天原に行ったとしても何一つ分からないように感じる。
「まあ、行ってみないと分かりませんから」
太郎はにこりと笑って、この話を終わらせた。
「ふむ。そやけど、今九州はたいへんな騒乱に成ってますで。島津はんが九州平定を叫んで大進行中や。特に九州北部はどこもかしこも戦ばっかりや」
「博多はどうなってますか?」
「博多なんて焼け野原や。龍造寺がそのまま島津に渡すのが嫌で、焼き討ちして出て行き追った」
「そうなると、博多経由は難しいですね」
「行っても旅に必要なものはなんも調達できんで」
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