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「いやあ、言葉遣いといい言うてることといい、ホンマにしっかりしてるな。勝悟と初めて出会うたときは、まだ生まれてへんかったはずだが、やっぱし親子やな」
「そんな、父にはまったく及びません」
「謙遜の仕方も勝悟そっくりやなぁ」
助左衛門は懐かしいのか、勝悟の話をやめない。
「それで島津に私たちを仲介してもらう件はいかがでしょうか?」
「そらいける。琉球品を畿内でぎょうさん売りさばいて、島津にはずいぶん貢献してる。後はお主らのことどう紹介するかだが。わしの店の丁稚やちゅうこともできるで」
「ここは正直に自連の者だと言った方がいいでしょう。島津は自連に対して敵対関係ではないし、第一仲間の中にはそういう芝居が得意でない者がいますから」
そう言って、太郎は健をちらっと見た。
「確かにその方が信頼されるかもしれんな。お主たちは向こうで商いするわけちゃうし、調べ物をするんやもんな」
即答で素性を明かすと答えた太郎の利発さに、助左衛門は舌を巻く思いだった。
さすが勝悟の血を引く者だと言いかけて、言葉を飲んだ。
どうもそういう目で見られることを太郎は嫌っている節がある。
「そもそも島津とはどういう大名なのですか?」
太郎は予備知識として、島津について知りたいと思った。
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