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「盛敦殿、お迎えいただきおおきに。少しお痩せになったか?」
「戦がいっぺこっぺで始まっで、兵糧ん手配で手がよかひこになってしまう。おかげで領地が拡大してんなかなか統治に手が回りもはん」
健には盛敦の言葉が正確には分からなかったが、おそらく忙しいと言ってることは理解できた。
「この数年の間に南九州を全て平定したのですから、ご苦労はお察しします。新領土の統治はお一人で手配されているのですか?」
太郎は盛敦の言葉が理解できているようだ。
健には太郎の話す言葉も難しくて、盛敦と同じぐらい難解なことが多い。
「おいと忠棟どんと二人だけじゃ。島津ん者は内ん仕事は不得手でごわす」
「伊集院忠棟か――」
助左衛門はその人物をあまり好ましく思ってないようだ。
名前をつぶやくだけで顔が曇り、健たちは困惑した。
「助左衛門どんな、忠棟どんをあまり好きじゃなかみてなんや。じゃっどん先ん見ゆってん、頭のよか人ど」
盛敦が変な空気を察して、すかさず言葉を継ぎ足した。
今ので健はすっかり盛敦のことが好きになった。
太郎や他の仲間も同じように好意を顔に浮かべていた。
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