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男たちがみな緊張する中で、盛敦に案内されて三人の男が入ってきた。
遠慮なく向かいにどんと座った男たちを見て、健はおやっと思った。
想像していたような偉丈夫はいなかった。背丈はさほど大柄ではなく、柔和な顔でにこにことこちらを見ている。
ただ先頭で入ってきた男の、袖なしの服から覗く二の腕の太さは丸太のようだった。しかも肉が削げて筋肉がむき出しになっている様は、獰猛な獣を連想させるのに十分だった。
その最初に入ってきた男がまず話の口火を切る。
「助左衛門殿、琉球とん交易ではお世話になりもうした。お主がうまっ整えてくれたゆえに、各地で戦すっにあたっちょってへん助かっちょっ」
「義弘殿のお役に立ったなら嬉しい限りです。それよりも、今日共に参った者を紹介しまひょ」
「おおっ、こんた失礼をした。よろしゅうたのみあげもす」
その素朴な言い方から、義弘はちまたで言われているよりは、怖い人ではないかもしれないと健は思った。
「こちら左から、真野太郎、赤木健、岡部碧、細野愼、友野春瑠、大石甚左、ほんで共としてついて来た市川源五郎です。ちなみに真野太郎の父は、自由連合代表の真野勝悟です」
助左衛門が勝悟の名を出すと、義弘は「おおっ」と叫び、相好を崩した。
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