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議員たちの頭の中に、想像すらできない広大な領土が思い浮かぶ。
「そのような大帝国を作った後、信長はどうするのであろうか?」
「おそらく、まだそこまで考えが及んでないはずです。いつも人々が想像もできない革新を成し遂げてきた信長ですから、新しい国の形も試行錯誤しているはずです。だからこそ我が国の形態には、興味があるはずです」
氏真は勝悟の意図が分かったようだ。
「信長の興味がつきぬ新しさを作り続けるわけだな」
「はい、それによって、我が国の平和は維持され、やがて存続が普通に受け入れられるはずです」
信長の天下統一を前提に、勝悟たちの新しい国造りが、今始まっている。
「すっかり遅くなってしまったな」
「帰ったころには、太郎はもう寝ているかもしれませんね」
勝悟は、新政府軍の将軍に就任した長男の梨音と共に、駿府の北に建設した兵士向け住宅の視察を終え、帰宅の途中だった。
新国家の独立を維持するためには、軍の拡大と強化は戦国の世には避けられない。
兵士を集め国への帰属意識を増すためには、兵士一人一人の福利厚生の充実が不可欠だと、勝悟は考えた。
何よりも兵士のモチベーションを、下剋上から国を守ることに向けたい。
それが勝悟の軍に対する改革だった。
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