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髪を濡らし迷いなく切っていく
まだ自信のない私は、彼の腕があっても自分が変われるのか半信半疑でいる
それだけ諦めていたのだ
琴葉「あの…」
黙っていようか迷ったがどうしても話したくなり口を開いた
琴葉「堂島藍斗くんですよね?」
聞いたとたんに鏡越しに目が合う
私のような地味な女が知ってるなんてビックリしたようだ
藍斗「えっ?」
切っていた手が止まった
琴葉「あの…私、藍斗くんのTikTokフォローしてて、毎日見てるんです」
テンションが上がった私は早口になってしまっている
藍斗「そうなの?マジで嬉しい」
彼も私がフォロワーと知って凄く喜んでいる
琴葉「藍斗くん…あっ、勝手に藍斗くんって呼んでて…すみません」
いつもの呼び方が出てしまって慌てている
藍斗「いいよ。藍斗くんで」
優しい口調で話してくれる
琴葉「どんな女の子にも可愛いとか、凄く似合ってるとか言ってくれて、その子の一番を引き出してくれて、最後は絶対その女の子が嬉しそうに鏡を見てキラキラしてるんです。だから私もずっと藍斗くんに切ってほしくて…」
言い終わったら急に恥ずかしくなってきた
ちょっと引かれたかも…
重すぎて気持ち悪いよね
藍斗「すっげ~嬉しい。ありがとう。ものすごく伝わった」
そっと彼を見るとまったく引いてないみたいだ
むしろかなり喜んでくれている
琴葉「藍斗くん…」
藍斗「琴葉ちゃん。俺、絶対可愛くする自信あるから任せて」
また鏡越しで目が合う
名前を呼ばれたのと、目が合ったのとで私の心のメーターが振りきれた
琴葉「はっはい」
返事をすることで精一杯だった
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