砂漠に水を

3/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
それから小顔で美人のアシスタントさんに案内され緊張しながらカルテを記入した その間もなんでこんな地味なやつが来たんだと思われてないか常に不安でしかたない 大きな鏡の前に座りクロスに手を通す こんなに明るい所ではっきり自分を見るのは何ヵ月ぶりだろうか その時、藍斗くんが後ろに立った 藍斗「お待たせしました。さぁ、やろうかっ」 鏡越しに目が合う そんなの美容室ではあたりまえだし、そんなのでドキドキしてたら疲れてしまう 琴葉「はい。お願いします」 心の中では、あの藍斗くんにカットしてもらえる嬉しさで発狂したいくらいだった 藍斗「どんな感じにしたいのかな?」 さっきからずっと見られているので、汗が止まらないのが恥ずかしい 琴葉「あの…私に似合うかわからないんですけど…イヤリングカラー…やってみたくて」 TikTokで出てくる女の子がやっていて、可愛いって憧れてたから素直に提案してしまう 藍斗「え~いいじゃん。やろうよ」 すぐに受け入れてくれる 美容師さんだもん。お客の要望に答えるのはあたりまえだろう 琴葉「上は暗すぎないブラウンで、インナーカラーがラベンダーとかできますか?」 ずっとやってみたかったからオーダーはわりとすんなり言えている 藍斗「もちろんできるよ。ちょっと髪触るね」 初めて触れられた瞬間にもっとドキドキしてしまうかもと緊張していた でも、慣れているせいかサラリと髪の状態を見極めながら診断している 私も変に意識せずにいられた 藍斗「毛先がちょっと痛んでるから肩くらいまで切って、外はねとか似合うと思うんだけどどうかな?」 少しの時間で私に一番合う髪型を考えてくれて、やっぱりプロなんだって感動している 琴葉「じゃあ、それで」 言われるままお任せする 藍斗「絶対可愛くしてあげるからね」 自信たっぷりの表情で笑顔を見せる彼に心を持っていかれてしまった これは夢か何か?
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!