カレースープとNo.30 ④

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 上り方面の最後の電車に飛び乗ると、私は荒い息をついた。  体中を巡るアルコールのせいで少し走っただけでも息が上がる。  今上りの最終電車に乗ってしまえば、当然帰りの電車は朝までない。  後先考えずに朝帰り、なんて若い頃は良くやったものだけど……。  ガラガラにすいた座席に腰を下ろすと、向かい側の窓に少し赤い顔をしたアラサー女が映っていて、私はクスリと笑った。  今まで築き上げてきたものって何だろう。  あるのかないのかもわからないものの為に私は何をそんなに怖れてきたのだろう。  大事なのは今現在の私自身だ。  どれが一番大切かなんて順番はつけられない。  けれどそれで良いんじゃないかとも思う。  その時その時大事に思っている事、それを大切にしていけば本当の自分が見えてくる、何だかそんな気がしていた。
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