126人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
どのくらい歩いたのだろうか。
今は一体何時なのだろう……。
芯まで冷え切った頭でぼんやりとそんな事を考える。
とにかく寒い。
ずっと歩き続けているにも関わらず、私の体はますます冷え切っていくようだった。
芯の方から凍りつく私の体は、コートの前を合わせても、両腕で強くさすっても全く暖かくはならない。
そう言えば朝から何も食べていなかった。
昼食を食べ損ねたまま大塚農場に向かい、帰りがけに遅い昼食を取ろうと思っていたのだけど、あの後何だかテンションが上がってしまった私は、Uハウスでケーキを購入するとそのまま家に帰ってきてしまったのだ。
体の中に燃やすべきエネルギーがもうないような感じだった。
とにかく温かいものを体に入れなければ……。
一度空腹を自覚すると、無性に何か食べたくなってくる。
あんな事があったってお腹は空くもんなんだな……。
欲望に素直な自分の体に思わず呆れてしまう。
どこか食事のできる所は無いだろうか。
闇雲に歩き回っていたので、現在地は全くわからない。
顔を上げると、暗闇の向こう側にぼんやりと灯るコンビニの看板が目に入ってきた。
ホットドリンクでも買おう。
そう思って近づいていくと、コンビニの向かい側にチェーン店のカフェがある事に気が付いた。
けれど、カフェの看板の灯りは既に消されていて、ガラス張りの店内では店員さん達が床掃除をしているのが見えた。
もうそんな時間なのか……。
ため息をつきながら足を止めると、カフェの直ぐ脇に見落としてしまいそうなくらい細く暗い階段がある事に気がついた。
最初のコメントを投稿しよう!