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しかし、家の中からは何も返事がない。 かなめは家の奥へ重い足取りで進んでいく。 その先には、酒の悪臭ただよう父親がいた。 「おう、かなめ。どうだったんだ?」 「いや…、ごめん。お酒買えなかった…」 その途端、部屋の中に鈍い轟音が響きわたった。 「なんで買ってねえんだよ!」 父親の手には、1Lはゆうに超える焼酎瓶。 かなめは、頬を抑えて、父親の下にうずくまっている。 しかし、父親の手はとまらない。 「うぁ…」 霞む景色。 遠のく意識。
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