走る

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走る

たまたま親が見ていた駅伝の中継。その中であの人は走っていた。 先頭ではなく中盤を走る選手。 なぜあの人が一番じゃないんだろうってくらい、しっかりしたフォームで走っていた。 僕は餅を持ったままテレビに釘付けになっていて、親が笑っていた。 あれから数年。僕はこうしてあの人が走っていた区間を走っている。 「トモキ、まだまだいけるぞ!」 沿道から聞こえたのは監督の声。  あの人に近づきたくて、探して同じ大学にすすんで。あの人が指導するこの陸上部に入って。 僕は監督になったあの人と一緒にこうして、走るのだ。 了
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