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何事もなく過ぎていく映像にまぶたが重くなる。
視界が完全に暗くなった頃
────ぱりん、と。
何かが割れる音が聞こえ、目を開け映像を見つめるも、試験管が割れただけの様だった。
少しでも何かを得られるかもしれないと、期待した自分に舌打ちをし、これ以上何も得られないであろう映像を止め、仮眠を取ろうとした時だった。
ずる……ずる……
映像の端っこで何かが動いた気がし、目を凝らし画面を見つめると、ヒトのこぶし大の程度の質量を持った物体がゆっくりと這いずりながら進む。
バンっと勢いよく画面に手をつく。
「うわ、なんすか榊さん」
と藤門が驚くが気になんてしてられない。
こんなこと資料には一切書かれていなかった。
ゆっくりと這いずりながら進む物体はとある試験管の前で動きを止める。
こいつは自分の意思で動いているのか、はたまた似た様な物質に引き寄せられているだけなのか。
なんの試験管の前で動きを止めたかは映像からはわからない。
なんでこんなに角度が悪いのか、もっと撮り方があるだろう。
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