十 若松本部長 臼田副総監殺害事件

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「最大の余興はこれだ・・・」  覆面の男は若松のズボンを切り裂き、股間の一部分をピアノ線で括った。 「これから、椅子ごと落ちてもらう。下で、お前とともに、組織からあてがわれた女を絞め殺した、お前の仲間がお待ちかねだ」  そう言って男は、パイプ椅子の若松を椅子ごと三階から蹴落とした。  若松の身体は一瞬、二階で止まったように見えだが、そのまま股間から血しぶきを飛びちらせて、コンクリートの床に落下し、腰と背骨を骨折した。その上に、千切れた股間の一部分が落ちてきた。  若松の隣には副総監の臼田の死体があった。臼田も舌と鼻と耳を焼き切られて両手を潰され、股間の一部を引き千切られて腰と背骨を骨折していた。  黒覆面の男が若松の傍に立った。小型高周波電流発生機や針金、プライヤーやハンマーなどの入ったバッグを降ろして、若松の身体から結束バンドを切り離し、それをバッグに入れた。黒覆面の男の靴底は特殊素材で足跡が一切残らない代物だった。
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