十二 尋問

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 東条課長は取調室の隣屋に入った。ミラーグラス越しに取調室を見た。  二人の警官が二人分の水のペットボトルと簡易トイレを二つ持ってきた。水を机の上に置いて、簡易トイレを取り調べ室の机の下に置き、取調室を出た。二人は取調室の外でドアの横に立っている。  東条課長は野村班長と早川係長の声を聞きながら、取調室の様子をミラーグラス越しに見た。 「早川。霧島が話した内容を説明しろ!」 「俺に言わせる気か?野村、お前が一番よく知っているだろう!」 「俺が早川に尋問してるんだ!霧島が話した内容を説明しろ!」  組織犯罪対策部が、捜査第四課の組織犯罪対策課だった当時、野村班長と早川係長は、組織犯罪対策課の霧島課長の部下だった。  早川は説明した。  臼田副総監と若松本部長は自分たちが犯したスピード違反と駐車違反など交通違反を、何度も霧島に指示して早川係長と野村班長に揉み消させた。  麻薬売買組織はその事実を知って霧島を脅した。組織は霧島を通じて、変態趣味の若松と臼田に女をあてがい、見返りに組織の捜査を遅らせた。  その後も臼田副総監は麻薬捜査を遅らせる見返りに女を斡旋された。  臼田副総監と若松本部長は変態趣味が講じて、霧島を通じて組織から与えられた女を窒息死させた。  組織が臼田副総監と若松本部長に女を斡旋した現場に、霧島課長と野村班長と早川係長がいた。 霧島課長と野村班長と早川係長は、女が自殺した事にして後始末した。
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