十四 同期の捜査会議

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「東条肇課長は、臼田と若松と霧島に指示されて組対捜査の手を抜いて動いた者たちを挙げるのに躍起になってる。本庁の大不祥事だ・・・」 そう言って三島は、警視庁捜査第一課の東条肇課長(警視)が部下たち全員を疑っているだろうと思った。  かつて組織犯罪対策課は捜査第四課だったが、現在、組織犯罪対策部として刑事部とは別組織だ。現在の刑事部には、かつて臼田や若松や霧島の部下だった者が多い。 「被疑者は庁内の情報を把握している。鑑識に詳しい。警察官あるいは鑑識官だ、科捜研職員も考えられる」と池上。 「本庁内の者なら、情報を掴んで直に上へ報告するはずだ。  殺された霧島に情報が上がってなかった。  被疑者は所轄の警察官だな」と大嶋。 「今後の犯行は無いだろう。臼田と若松と霧島の不祥事が判明して目的を果たしたはずだ。  被疑者が残した録音に、臼田と若松の不祥事現場にいる霧島の画像を、霧島に見せているような会話があった。  被疑者は、霧島たちが撮った画像を入手できる立場にあって、鑑識に詳しい所轄の警察官と断定していいな?」  三島はそう言いながら対策を考えた。  大嶋が言う。 「所轄警察官から事件当時のアリバイを調べるのは手間だぞ」 「そうだな・・・。被疑者は犯行後に、犯行の反響を確認したはずだ。  池上の大森警察署で今回の事件に異常反応した警察官が居たか?」  三島はそう言いながら、自分の所轄署、四谷警察署の警察官の動向を思い浮かべた。  今回の事件で異常反応した者は居なかった。私がそう思っているだけか?何か見落としていないか・・・。 「大森署の警官は、事件より、捜査が本庁の捜査本部に移移された事に異常反した!」  池上は、あの時の腹立たしい思いを忘れなかった。  変死体が霧島と判明した一時間後、現場に捜査第一課の東条課長が部下を引き連れて現れ、断りも無しに捜査は本庁本部へ移されたのだから、所轄の警官たちが憤慨して当前だった。 「うちの署で異常反応した奴はいなかった」  大嶋は城東警察署の警察官たちを思った。  身元不明者が殺害された時も、茂木が殺害された時も、担当した菊川刑事は事件に対して個人的な感情は示さなかった。いつもの菊川だった。他の警察官たちも同様だ・・・。  殺害手段が異常だったのに菊川や他の警察官が関心を示さなかったのも気になる・・・。警察官の間で、何かあったのだろうか・・・。
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