十四 同期の捜査会議

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「被疑者はどうやって本庁内の過去の組対情報を得たと思う?  二〇〇三年以前に、被疑者が捜査第四課に居たとは限らない。当時の、隠蔽した事件の記録は無い。被疑者がどうやって、隠蔽した事件を知ったか・・・」  三島は、被疑者の、過去の組対情報の入手経路が気になった。  二〇〇三年四月一日。暴力団等の取り締まりを担当してきた刑事部捜査第四課、暴力団対策課等に代り、組織犯罪対策部が設置された。  現在、組織犯罪対策部は刑事部とは別組織だ。現在の刑事部には、かつて臼田や若松や霧島の部下だった者が多数居るが、皆、中年以上の高年齢だ。それらの者か自分の身元が ばれるような犯罪を犯すとは思えない・・・。 「霧島の部下が、霧島から直接、事件の隠蔽を聞いたとは考えられないか?  あるいは、霧島の部下の部下が関与している場合も考えられる」と池上。  二〇〇三年以前の捜査第四課から直接内部情報を得ていた警察官が現在も所轄内に居て、その者から情報を得た者が犯行を重ねたと考えるのが妥当だ。  被疑者は臼田や若松や霧島の部下の若い同僚か、臼田や若松や霧島の部下の部下だ。臼田や若松や霧島の運転手の若い同僚や、かつて運転手だったが今は出世した者の部下という場合だ。大嶋はそう考えている。 「その線だな。本庁内の若手を除外するぞ。所轄署の方が動きやすいはずだ。  臼田や若松や霧島の部下で、出世して所轄署へ移動した奴と、その部下を探そう」と池上。 「これらの事を署長たちに報告するか?」と大嶋。 「やめておけ。奴らも被疑者対象だ」と池上。 「そうだな。署長も警戒した方がいい」  大嶋と池上の話を聞いて三島がそう言った。
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