十七 四谷署の相棒

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十七 四谷署の相棒

 午前九時三十分を過ぎた。  三島は生活安全課に戻った。安藤刑事が待っていた。 「いつものように丸の内線のパトロールをしますか?」  痴漢被害が多発している。鉄道警察隊の要請で、三島と安藤由香刑事は東京メトロ丸の内線の痴漢捜査を担当している。 「そうだ・・・」  三島は安藤刑事にそう答えた。惨殺事件が気になってパトロールに気乗りしないと思いながら、三島は安藤刑事を連れて生活安全課を出て四ッ谷署を出た。  四谷三丁目駅へ歩く道すがら、安藤刑事が三島に訊いた。 「惨殺事件の被疑者が気になりますか?」  安藤刑事も今回の連続惨殺事件を気にしている。 「ああ、気になるが、担当は本庁の一課だ。  安藤は事件についてどこまで聞いてる?」 「本庁の刑事部捜査第一課の刑事たちが被害者たち上層部の犯罪を隠蔽していた、と聞いてます。  それなのに、惨殺事件の捜査本部は本庁にあって、担当は刑事部捜査第一課です。  どこまで本気で捜査するんでしょうね・・・。  上層部は所轄の警察官に口止めしてますが、悪事千里を走るです。  警視庁管内で今回の事件を、つまり、上層部の者が部下を使って犯罪を隠蔽したため、その者たちが惨殺された事を、知らぬ者はいないでしょうね」  そう安藤刑事は話した。
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