きっかけは甘い声……?

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「すみません、明日も仕事で……」 (しかも明日は遅刻できない!)  透子は言い訳をしながらカバンを手繰り寄せて伝票に手を伸ばした。が、それより早く伝票をかっさらって笑う。 「ここは僕が……その代わり、また会ってください」 「――はい」  ほとんど条件反射で返事をしていた。――しかも疑問符を忘れて。 「よかった、約束ですよ」  満足そうな顔に退路は塞がれた。 (……一度ぐらいなら)  慌てふためいて帰路につく透子を小さく手を振って見送って残り少ないビールを飲み干した。 「――?」  伝票を手に立ち上がろうとして椅子の陰になにかが落ちているのに気が付いた。拾い上げると白地に猫のシルエットが描かれた四角いそれ。  先ほど透子が握りしめていたものだ。  顔を上げるが店の出入り口にすでにその姿はない。 「ガラスの靴じゃないけど……広い意味でこれもガラスか」  ずいぶんと慌てていた様子だったのでバッグに押し込んだつもりで落としてしまったのだろう。 「故意か不注意か。まるでシンデレラだ」  拾い上げてトートバッグに押し込んだ。 ※※※ 三十路のシンデレラ、ちょいワル王子様に振り回される予感です。 ちょっと強引なペースに振り回されて…( *´艸`) ここまでが序章になります。 ぼちぼち更新予定ですがお付き合いいただけると嬉しいです。
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