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男性関係が豊富なミナちゃんのありがたい言葉にため息を落とした。
「後ろ向いてどうするんですか、せめて斜め前を向いて善処してください。そんなんじゃ恋人どころか彼氏もできませんよ? 花の命は短いんです。透子さんはドライフラワーにでもなるつもりですか」
「綺麗に枯れただけマシかもしれない……」
「なにを言ってるんですか、透子さんのお姉さんだってナイスバディで赤ちゃんと若い旦那さんをゲットしたんですよね? 遺伝子は一緒じゃないですか。素敵な男性と致せば赤ちゃんだけでもゲットできます」
ミナちゃんは笑顔で透子の傷をえぐって塩を塗りまくる。
「無理。もうそういう関係になれません」
「……そっちはとっくにドライフラワーでしたか」
胸元からちょっとだけ下に視線を落としてつぶやく。
とどめにチリパウダーまで振りかけられた。
「悪かったわね、休憩が終わったんならさっさと仕事に戻んなさいよ」
手を打ち払って追い払う。
なぜかミナちゃんと話すと最後にはそっち方面の話になってしまう。
(問題はそれじゃない。携帯をさがさなきゃ)
あの中には仕事関係だけではなく学生時代の友人の連絡先も入っている。ついでに千賀の結婚式の写真も。
もし見つからなかった場合を考えるとどんよりと気分が重い。
(誰かが拾って警察に届けてくれてるといいんだけど)
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