呪念満ちしその時に

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 来年で110年を迎える伝統校らしい薄暗さとカビ臭さが、余計に気持ちを下向させていたかもしれない。  憂鬱になる程に突き抜けた快晴だった。私の目の前で小さな四角に収まっている空の青は、透き通って清廉だ。不浄を受け付けない純粋なその色は、夏の日差しの強さもあって容赦なく私を爪弾いているように感じる。  すがるように空を見つめながら、ここのところ毎日通っている廊下を踏み締めて歩く。  1時間目からあった数学も、昼直前の体育も、嫌だと感じる余裕すらなかった。この廊下が永遠に続けば良いのにと思ってしまう。  生徒会室へ行くのが死ぬほど億劫だった。今この瞬間に、生徒会室が爆破しないかなと考えて、少し鬱憤を晴らした気分になってみる。  それでもやはり、ノブを捻っただけで勝手に開く生徒会室のドアの軽さに、恨めしい気持ちが湧き出てきてしまった。
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