呪念満ちしその時に

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 池田先輩は、申し訳なさげに苦笑していた。 「突然ごめんね?」 「ロウにはこの数日、高田さん告白(コク)るよう何度も言ったんだけど、照れちゃってなかなか動けないみたいでさ。ロウだって高田さんが気に入ってるんだよ? なのにさぁ」 「私たちは本当は陰から見守りたかったんだけど、明日からまた会えなくなっちゃうからね。もう、背に腹は代えられないなって思って」 「え、ちょっ。待ってください。私、別に」  三上先輩を好きなんじゃない、と続けようとした私の言葉を、成瀬君が圧し込める。 「高田さん、三上先輩ばっか見てるじゃん」 「そんなことないよっ」 「無自覚かぁ」 「無自覚だねぇ」 「違っ」  私と成瀬くん、池田先輩の会話に、荒川先輩まで混ざって、 「俺への視線も冷たいしねぇ」 目を閉じて口を尖らせ、両頬に手を添えながら傾ける顔を悲しそうに歪ませる。その様はいかにもからかってマスという感じだ。  慌てて、荒川先輩の方へ向き直る。 「冷たいなんてコトは」 「無自覚かぁ」 「無自覚だねぇ」  また繰り返す成瀬くんと池田先輩のいい加減な合いの手に、 「ちょっ」 つい律儀に反応してしまう。
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