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「いやもう、形も実態もはっきりしないのに、他者に影響与えるような強い“気持ち”とか“思い”とかって、怨念で括ってちょうど良くない?」
「怨んではないでしょ、好きな相手を。そもそもそのネーミング、荒川君の悪意しか感じない」
「結構敬意払ってるつもりだったんだけどなぁ。大体、怨みも結構明確に向けられてたよね、俺に対して」
「自意識過剰。それに払う敬意が自己内完結してる」
お茶らけながら話しているせいかとっ散らかってきている。ただ、戯れているだけにしか聞こえないこの会話に対してどうにもひっかかりを感じてしまう。
つい、
「あのっ、三上先輩は、怨霊に取り憑かれてるわけじゃないと思うんです」
口を、挟んでしまった。
「あ、ごめんね。怨霊っていうのは」
池田先輩が優しい笑顔で説明してくれようとするのを、更に遮る。
「取り憑かれているのは、私たちじゃないですか?」
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