呪念満ちしその時に

　私が三上先輩に恋愛感情を持っている、というそのこと自体にも異議はある。しかもそれを怨念呼ばわりされて、不満がないわけがない。

　それでも、もうそんなことはどうでも良い。
　三上先輩が何かに取り憑かれているなどと、軽々しく言って欲しくない。それを今すぐ訂正してほしい。

　三上先輩は、ただ真っ直ぐに、誠実に生きているいるだけだ。それが和を乱しているように見えるというのなら、それは和を作っている側の歪みが表面化したに過ぎないのではなかろうか。

　クラス会で意見を主張して何が悪いと言うのだ。むしろそういう場ではないのか。
　陰口を言った人間は非難されず、それを漏らしてしまった三上先輩だけが矢面に立たされるだなんて、とんだ人身御供だ。
　訳がわからぬまま四面楚歌な状態になった人が闘うために周りへ剥き出した牙を、危険だと安易に断ずる空気は、健全だと言えるのか。