呪念満ちしその時に

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 途端、荒川先輩のことなど吹き飛んでしまった。ビクッと肩が上がったのがバレてしまっただろうか。 「ロウー! ここ!」  荒川先輩も、つい今しがたのことなど欠片も残さず、いつもの感じで大きく手を振る。  三上先輩が、何か返事をしたのが微かに私の鼓膜に届く。それだけのことで、心臓が倍速で動き始めた気がした。  それが収まる気配のないまま、三上先輩は到着した。 「ごめん、待たせた」 「牛丼食いに行こうって話してたとこ」 「え、俺、牛丼嫌い」  そうなんだぁ、と応じる荒川先輩の白々しさに今更驚いている自分が悔しい。しかもその態度が私をせっついているようで鬱陶しい。  それでも。  と、私はつい、素直に、自分を奮い立たせていた。
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