呪念満ちしその時に

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 そう感じるようになって以降、私は、生徒会が苦手になってしまった。荒川先輩の裏の側面を突き付けられているようで、息苦しい。  そしてそれ以上に、メンバーが息を吐いて心底ホッとしている分だけ、三上先輩が目を泳がせて強がる無理矢理な笑顔が、私には辛かった。   「高田さん、一緒に行こ」  池田先輩に声を掛けられ、彼女の笑顔に対応する表情を返す。  生徒会室は4階、職員室と印刷室は1階。同じ棟だが、道のりは短くない。螺旋状に続く階段の踊り場に付けられた縦長の窓から入る細い光が影を成し、より陰気に演出している。それでも、同じ棟の反対側音楽室から聞こえる楽器の音や、演劇部や合唱部の声、体育館を使えない卓球部の穏やかなピンポン音が交差しながら響いていて賑やかしい。  楽しげな雰囲気は、私からは遠い存在のように感じたけれど、それでも気持ちが落ち着く。
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