呪念満ちしその時に

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 池田先輩は、おっとりふっくらした安らぐ系女子だ。しかしそんな彼女の言葉でさえも、 「高田さん、三上君と二人で作業すること多いよね?」 「そう、かも? しれませんね?」 「生徒会の仕事はどう?」 心配しているのは、仕事のことより三上先輩のことだろうな、と感じ取れた。 「先生から話があった時は面倒だなって思いましたが、思ったより楽しいです」  我が校はどうやら生徒会活動が活発ではないらしい。選挙はあるが、立候補は形式的なものに過ぎない。5月半ばに、引き受けてくれそうな生徒へ先生から打診があるのが慣例のようだった。私もその口だ。  でも、 「三上先輩は、純粋に立候補なんですよね?」  私の切り返しに、池田先輩は驚いた顔をする。 「高田さん、よく知ってるねぇ」 「部活の先輩から聞いて」 「部活?」 「バドミントンです」 「ぁあ、米川さんかぁ」  部内二年生の名前を呟いて、池田先輩は少し息を漏らした。
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