呪念満ちしその時に

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 職員室に行った後印刷室に立ち寄ってくれた池田先輩と共に印刷を終え、仕上がった書類を抱えて生徒会室に戻る。その後は、淡々と作業を進めた。メンバー全員で、書類を人数に合わせて委員ごとに分け、クラスに配るものも同じように総出で作成していく。先生に言われた通りに明日の委員総会の準備をして、帰る頃にはもう6時近かった。    委員総会が終われば、しばらく生徒会の仕事はない。そしてそのまま夏休みに突入する。その解放を妄想しながら、私は同じ1年の成瀬くんと昇降口を出て、西門近くの駐輪場へ向かった。  2、3年の昇降口は東門の方にある。成瀬くんとは帰る方向が違うので、学校を出たらすぐ別れることになるなと考えていたら、西門には役員2年生2人が既に待っていた。  三上先輩は今日の報告と鍵の返却で職員室へ寄っている、と説明した後、荒川先輩が笑顔で続ける。視線は成瀬くんへと明確に向けられていた。 「成瀬、腹減ったから吉牛食って帰ろ」 「良いですね」 「池田さんが食いたいんだって」 「食べたいんじゃなくて、食べたことないって言ったんだよ」
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