第1章「帝国へのいざない」

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食料を恵んでもらい、 船を借り、 衣服を用立ててもらい、 宿を借り、 成人になる頃には様々な職種で その日の生活費のために働き、 生計を立てられるようになった。 まだ幼子であった頃は 何も言わずに好意で 恵んでもらったが、 ひとたび(なり)が大きくなれば 責任を求められた。 当たり前なのかもしれないが、 成人になるプロセスが 誰も同じとは限らない。 この異質である自分さえ、 周りから見ればただの 成人男であり、服を纏い、 少しの金を持ち、 2本の足で歩けるものなら、 みな我と同じとみなし、 自分に課されているものと 同等に他者も扱うのだ。 なんと醜い生き物であろうか、 人間とは。
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