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時として、旅立ってから
20年ほどの歳月が経っただろうか。
もはや自分の生誕した
日にちなど覚えてはいない。
時の流れは空の明るさだけで
判断して生きてきた。
今、自分の生きる目的はただひとつ。
「自分の立っていた場所に戻ること」だ。
周りの人間との関りを大切にし、
愛を育み、信頼という絆を
結ぶことなど眼中にない。
自分の目的に近づくために
必要な事であれば、
それを演じることは容易いが。
そういった情というものを
信じ切っている者たちは、
自分が頬を緩め、
涙のひとつでも流せば、
心が救われるのだという。
馬鹿げた話だが本当らしい。
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