恐怖じゃない味噌汁

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恐怖じゃない味噌汁

「姉ちゃん、姉ちゃん!」  たかしが二階に上がってきて、姉の部屋に顔を覗かせた。 「なーにー?」  姉は床でマンガを読みながら返事をした。 「今日、『ふ』の味噌汁だって! 今作ってる。」  たかしの言葉に、姉はニヤリとした。  『今日『ふ』の味噌汁』といえば…… 「まじで?」 「マジ、マジ。」 「そっか。じゃー、姉ちゃん、ちょっと一発キメてくるわ。」 「どーぞどーぞ。」  姉は台所に向かった。  片手で暖簾を上げながら、母の背中に尋ねた。 「おかーさん、今日のお味噌汁の具、なあにー?」 「ん? くるまふよ。」 「きゃー!恐くるまふの味噌し……あれ? 恐くるまふ……恐くるま怖の味噌汁……………  ーーあいっつ! ハメやがったわね!  たかし!! てめー!!」  姉が弾丸のように階段をかけ上がってくる音に、たかしの爆笑が重なった。
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