言っちゃってるし

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言っちゃってるし

「ーーで、持ってこれるおやつは300円まで。遠足の説明は以上だ。何か質問あるか?」 「はい!」  男子の1人が挙手した。かな坊というあだ名のわんぱく系男子だ。顔がどことなくニヤついている。  かな坊は立ち上がって言った。 「スナック菓子は、揚げ物に入るんですか?」 「揚げ物?」 「揚げ物なら、おかずだよね!」  身を乗り出しての発言に、教室はざわめいた。おかずに制限はないからだ。もしもスナック菓子がおかず扱いなら、持ってき放題ということになる。  だが、先生もニヤリとして言った。 「最近のスナック菓子は、揚げていない物が増えたようだな?」 「あ! あたしの好きな鯛せん、揚げるのやめたのをウリにしてる……」 「そういえば、オレの好きなポップコーンは、そもそも揚げてなかった……」  落胆の声が次々とあがるなか、かな坊が食い下がった。 「じゃ、揚げてるスナック菓子は、揚げ物?」  言い出したらなかなか聞かない、利かん坊のかな坊なのだ。先生がちょっと困った顔をしたとき、誰かが言った。 「お前、さっきからずっと、スナック『菓子』って言ってんじゃん。」  一瞬の静寂のあと、皆どっとなった。 「だよー!!」 「ちっくしょー、言い方負け!」  教室内の気が抜けて、かな坊もしぶしぶ諦めて席に着いた。  たかしが先生にウインクし、先生も笑顔で敬礼を返した。
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