初夢

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初夢

 それはたかしの姉実咲が見た初夢である。  夢の中で、実咲は美しい大人の女性の姿でカジノに居た。  絢爛豪華な広いスペースの、なぜか片隅で、一家揃ってすごろくをしていた。テーブルはコタツである。  なんのきっかけか、実咲と母がバトル意識をエスカレートさせ、実咲は「2出ろ、2!で、母さん1回休み!」と叫び、母は「10で上がり! 10でぴったり上がり!」と連呼している。  ディーラーが指に挟んだサイコロ2個を投げた。  結果は、12。  実咲も母も何か言おうとするも、言葉が見つからないのか、口をパクパクさせている。 「御婦人の願いは叶えるものと心得ておりますので。」  ドヤ顔のディーラーは、小学生のままの弟、たかしであった。
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