テレビ戦争

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「ふぅ~。さっぱりした~」 お父さんがお風呂から上がり、またビールを飲む。 そして、お母さんが用意したおつまみを、食べながらまた、ビールを飲んでいる。 幸せそうに。 “のんきなもんだよ。私はテレビ戦争に必死なのに!” 午後九時までの間、ずっと私は作戦を考えた。 “CMチャンスが使えないとしたら、どうするか・・・。” えっ?お父さんが譲れば、それで済む話だって?私もそう思う。 これは、ただお父さんが、譲ってくれればすむ話だ。何も難しくない。 が、私のお父さんは、譲るとか、思いやりとかっていう人間としての優しさを、どこかに置き忘れたみたいなんだ。 私も、もうそこには期待していない。 自分の部屋に行き、ベッドの上でじっくり考える。 どう考えても、チャンネルを奪うことは難しい。
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