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唇をぐっと噛み締めてうつむいたら、吉岡に肩を叩かれた。
「落ち着いて、品田。渡邉さんは告白しにいったわけじゃないよ」
「え?」
思わず顔を上げると、よっぽど俺がアホみたいな顔をしてたんだろうな、吉岡がくすっと笑う。
「品田とちゃんと話し合ってほしいってお願いしにいったんだ。で、僕が品田のほうを説得する役目。……大路と一回ちゃんと話しなよ」
「話し合わなきゃいけないような喧嘩なんてしてないよ。別に普通だって」
「普通だからだよ。無理してそうしてる感じ、見ててわかる」
図星だったから俺は言い返せなくなってしまった。確かに、何もなかったみたいに普通に挨拶したり、夏祭りに四人で行こうって言ったり、頑張って「普通の友達」に戻ろうとしている感じは大路からもビンビン伝わってくる。
でも、それでいいんだって思っていた。大路がそうしたいんだから俺はそこに踏みこんだりなんかできないよ。
「あのあと、渡邉さんから聞いたんだ。品田が『『自分のこと好きらしい友達のことが気になってる』って渡邉さんに相談したことがあるって。それって大路のことだよな?」
「ああ」
「じゃあそれを大路に素直に伝えたらいいんじゃないの」
「……余計なお世話だよ。ほっといてくれ」
「ほっとけない」
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