1 裏アカ男子のそのこころは

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 俺は少し離れたところにあるもうひとつのペットボトルをちらりと見やった。乾杯したっきり蓋すら開けずに置いてあるから、机には結露で浅い水たまりができている。  そのまま視線を上げると大路と目が合った。しかしすぐに逸らされた。  先ほどからずっと、大路は輪の片隅でスマホをいじっている。茶番に乗ることもなければ会話に加わることもほとんどない。つまらない、早く帰りたい、と思っているのが見え見えの態度だ。  その様子を見かねてか、鈴木がため息をついた。はあぁあぁ~っていう、人に聞かせるための一番デカいやつだ。 「大路も何か言うことないの? モテ男代表として、ユキチカに次の恋愛へのアドバイスしてやれよ」 「別にない」  大路はスマホから顔を上げない。俺の失恋を祝うことに遠慮しているわけではないだろうね、なんたってそんな殊勝な男ではないから。大路がそっけない理由はもっと単純明快だ。たぶんあいつはこの話題に興味がない。
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