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思い返せば一年の時からそうだった。
力強い瞳にすっと通った高い鼻、薄い唇、それからきれいな歯並びという女子ウケのハッピーセットみたいな顔立ちで、妬ましいくらいに大路はモテる。でもそのくせ恋愛話には興味がなくて告白はすべて断っているらしい。女子たちは「ゲームでハート送りたいからフレンドになろう」とか「SNSをフォローしたいから教えて」とかあの手この手で攻めるけれど、それすらも「やってないからごめん」の一言でシャットアウト。とにかく硬派なやつなのだ。
佐藤と鈴木は、ありんこのように群がってくる女子たちを「ごめん」の一言で返り討ちにする大路のことを面白いじゃんっていう。俺にはよくわからん。とにかくそのふたりのせいで俺たち四人は一年の時にずっとつるんでいた。
そのままみんなで同じクラスになれたらよかったものの、よりによって佐藤と鈴木・俺と大路という組み合わせでクラスが分かれてしまった。せめて俺と別のクラスだったらよかったのに大路も運が悪いやつだ。
佐藤と鈴木が「失恋おめでとうパーティーしよう」と教室に押しかけてきたとき、大路はたまたま近くにいた(そりゃ同じクラスだからな)。そのせいで佐藤と鈴木に見つかってしまい、まったく興味がない俺の失恋パーティーに参加するはめになったというわけだ。
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