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03 お先に天野
「ハァ……」
私は小さく息を吐いた。そして、達して硬直した体の力を抜く。体勢を立て直そうと体を起こそうとした。しかし、後ろで天野が胸を握りしめ抱きかかえたままだった。
「もう。水が飲みたいから起き上がりたいのよ私は」
私は後ろでまだ胸を優しく揉む天野に抗議する。
「水? ああ。岡本そっちにペットボトルあるだろ?」
そう言いながら天野はスルリと私の後ろからいなくなり、私の右側に回り込み腕枕をしながら私の体を布団に横たえる
「え、な、何? 水が飲みたいって言っているのに」
水にありつけると思ったのに。また横たえるってどういう事?
「ペットボトル……ああ、これですね。はい」
すると今度は私の股の間にいた岡本が布団の下の方に置いてあった水のペットボトルを見つけ、私の左側に横になる。
「あ、ありがとう」
横になってもペットボトルを持っているから私に手渡してくれると思ったのに、岡本はおもむろに自分が飲み始めた。
「何で!? 水ももらえないの?! ムグ」
喉が渇いているのは私よ! と、非難の声を上げようとした。
瞬間、岡本が自分の唇と私のそれを重ねてきた。生温かくなった水が注ぎ込まれる。
「んんっ」
「チュッ。はぁ……」
最後は私の唇を軽く吸い上げる。突然のキスに私は膝を揃えてピクンと爪先を跳ね上げた。
「こら、岡本。さっきから攻めすぎだろ。慌てるなよ」
そう耳元で囁き首筋にキスを落とすのは天野だった。天野は私の右胸を持ち上げると乳輪をゆっくり親指でなぞる。
「ああっ。そこは」
乳輪の周りをなぞられると、自然に乳首の横を刺激され私は堪らなくて喉を反らした。
しかも首にキスするとかっ。ゾクゾクして鳥肌が立つのにっ。
「はは。良いなぁ、凄く良い声。僕ね倉田さんの声って凄く好きなんですよ」
キスをしながら水を飲ませてくれた岡本が息を荒くして、私の腰に留まっている申し訳程度の浴衣の帯を解き全開にする。
レースのナイトブラジャーは上にズリ上げられて胸は丸出し。たとえ濡れぼそって役割を果たしていなくても、レースのショーツだけが最後の砦だ。
なのに岡本はそのショーツを手にかけようとしていた。
「ま、待ってよ」
これ以上、二人に流されるのはいけない。
いくらこういった行為が御無沙汰だったとはいえ──
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