動物園、再び

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 展示場にはもうたくさんのお客さんが居たが、群衆の中をのらりくらりと忍法らしきものを使いすり抜けていくと、なんとかカピバラ達を見ることができた。 「わあー!赤ちゃん!今日も可愛いね!」  真由は頬を緩ませて三匹の赤ちゃんを眺めるが、私の頬は真由のよりも緩んでいた。  憧れの君、京介お兄さんが居たからだ。  こないだの私服姿も素敵だったが、飼育員姿はさらに良い! 「お姉ちゃん、ちゃちん撮ってね!」 「うん!」  力強く頷き私はお兄さんへレンズを向け焦点を当てるのだった。  すると、質問するお客さんだったりベイビー達に向けていた顔が、ふとこちらを向き、目が合うという奇跡が起こった。  ミラクルはそれだけではない。  なんと京介お兄さん、私に気づいて軽く頭を下げてくれたのだ!  まるで、『こないだはどうも』と言ってくれたかのような動作だった。  そして私の隣にいる真由に気づくと、お兄さんは真由に向けて手を振ったのだ。  姪っ子が憧れているという嘘話を覚えてくださっていたのだ。  表情はやはりなかったが、それでもその優しい行動が嬉しすぎた。  感無量だった。  人生で一番感動した気さえした。  気づくと私は大粒の涙をポタポタと流していた。
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