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イベントに来るのが遅れたせいか、あっという間に終了時刻になってしまい、ベイビー達と京介お兄さんはいなくなってしまった。
それでも心は満たされ、多分女性ホルモン辺りもギュンギュンに放出されたような気もしなくもない。
「お姉ちゃん、お腹しゅいたー」
「そっかー。じゃあちょっと早いけどもう食べちゃおっか」
「うん。あれー。お姉ちゃんどうして泣いてるの?」
「ううん、ちょっと憧れの君に会えた感動でさ…」
「あこがれのきみー???」
ポカーンとした顔をする真由が大変可愛らしいので思わず笑いつつ、お弁当を広げても問題なさそうな芝生を探し始めた。
カピバラの展示場を少し離れた所で園児用の小さいピクニックシートを広げ、姉が作ったお弁当も広げる。
「いただきー、マンモスマンモス―!」と真由が赤ちゃんだった時から仕込んでいる一発芸のような合掌をして、私達は愉快なノリでお昼ご飯を食べた。
おやつのマスカットも食べ終え、お弁当箱をしまうと、真由が写真見せてというのでカメラの液晶画面を見せると、一発目から京介お兄さんの顔面ドアップが出てきた。
「誰この人!」
「飼育員の京介お兄さんだよ」
「ふーん。カピバラの赤ちゃんは?」
「えーっとねぇ…、えーっと。もうすぐかなぁ…」
次の写真へ何度スライドさせても京介お兄さんしか出てこない。
真由の為にもベイビー達も何枚かは撮っておこうと思ってたのに、興奮しててすっかり忘れていた。
「お姉ちゃんまたまちがえたのーっ!?もう!ちゃちん下手すぎるよ」
違うんだよ真由。
私は下手なんかじゃないんだよ。
むしろかなり京介お兄さんがかっこよく撮れてるから上手な方だと思うんだ。
とは思うが、確かに一枚も撮っていないのは分が悪すぎる。
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