カピバラの飼育員

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   明け方にやっと就寝したのもあり大変眠いのでお布団の中で過ごしたかったが、やはり可愛い姪っ子とのお出かけは癒されるものがあった。 「あ!お姉ちゃん見てみて!カピバラ!」  姪っ子の真由が興奮気味に指差したところは、カピバラの展示場だった。  他の所よりお客さんが多いなと思っていると、どうやらこの春生まれたカピバラの赤ちゃんのお披露目イベントを開催しているようだった。  大人の腰程の高さの策に囲まれた展示場内の後方では、飼育員に餌をもらう大人のカピバラが五匹。  前方ではカピバラの赤ちゃん三匹がよちよちと歩き、それを別の飼育員が見守っている。 「赤ちゃんだ!可愛いね!」  真由はぴょんぴょんと飛び跳ねてカビバラベイビーの可愛さに悶えているが、その手を握る私もまた目を奪われていた。  ベイビーにではなく、その隣にいる飼育員のお兄さんにだ。  だってお兄さん、かなり良い男でいらっしゃったのだ。  青色のいかにも飼育員ですな制服を着ているのに、まるでハイブランドの新作を身に着けているような着こなし方!  そして布越しでもわかる体の逞しさ!  ベイビーを撫でる武骨な指のエロさとなんとなくいやらしい撫で方!  もう視線がお兄さんに釘付けになってしまった。  ここはカピバラの展示場ではなく、イケメン人間の展示場なのではないかと思うほど、お兄さんしか見れないしお兄さんがただただ目立つ(私の中で)。 「お姉ちゃん!ちゃちん撮って!」 「あ、う、うん。写真ね。ガッテンガッテン」  真由の声に覚醒し慌ててポケットからスマホを取り出し、カメラ機能を立ち上げる。  ところがどうしたものか、カメラがお兄さんしか映してくださらない。指が勝手にお兄さんをズームし、焦点を当てたまま撮影ボタンを押しまくって止められない。  なんだこれは。私は何者かに脳を支配されているのか!?それとも私の邪な本能がそうさせるのか!?
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