サシ飲み

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 私達はつまみを啄みながらお酒を頂き、お互いの仕事のことや一人暮らしのあれこれ等、会話を広げていく。  するとだんだん永戸さんの話し方が崩れてくるではないか。  笑顔になる場面が増えるではないか。  どんどん、知り合ったばかりですの関係が、多分一年くらいの付き合いはある、くらいに距離が縮まっていってる気がするではないか! 「えっ!私の事よく見かけてたの?」 「うん、スーパーでたまに。無心でカップラーメンをカゴに入れてる姿とか、何回か見てる」 「や、やだぁ。カップラーメンじゃなくてフランスパンとかだったらいいのにぃ」 「ところで早瀬さんお酒強いの?」 「えーと、弱いよー」 「…弱いのにもう三杯も飲んでるけど。水みたいに」 「これ多分水かもしれない。ところで、せっけんの匂い漂ってくるぅ」 「あぁ。帰ったらまずシャワーしてるから」 「へえ~。シャワーに。いいねぇ。それはやっぱり、裸になって?」 「…まあ、普通裸になるよね?…ていうか酔ってるでしょ」 「酔ってないでしぃ」  いーや。私は酔っております!  お酒に酔い、幸福感に酔い、永戸京介という人物に酔っておりまーす!  買い物バッグの中で『僕ちんはいつ冷蔵庫に入れてもらえるんだろう…』と不安げに待っているヨーグルトの存在も忘れるほどに私は酔っている。
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