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「なんで俺を撮りたかったの?」
「えーっとね、んー、一目惚れ?アハハ。カピバラを撫でてる京介お兄さん見てたら、あぁ、私もこの人に飼育されたいなぁとか思っちゃって」
「飼育…?」
「そう飼育!アハハ、もう精神ヤバいよね私。働きすぎかなぁアハハハハハ」
涙が出るほど一人笑っていると、永戸さんが唐突に左耳に顔を寄せてきた。
そして囁くではないか。
「俺に飼育されたいんだ」
それは妙に甘く、熱く、くすぐったくて。
私の腰がはわはわと震えた。
いつもの、シラフの私だったら言わなかっただろうが、お酒という魔のパワーを得た私は、顔を真っ赤にさせながらも永戸さんの目を見つめて口にした。
「はい、飼って、躾てくだしゃい…」
こんな言葉を言ってる場面を誰かが録画していて後で見せられたら、きっと私は自ら地面に穴を掘り自分で自分を埋葬するだろう。
永戸さんもとんでもない事を言う女だなと内心思っているのか、じっと瞳を見つめたあと、フッと鼻先で笑った。
「でも酔ってるからそんなこと言ってるんでしょ」
「そんなことないっ。酔ってるけど、でも私、いつもお兄さんに飼われる自分を妄想しながら会社で働いてる」
「…いつもそんなこと考えながら仕事してるの?」
「うん…」
「じゃあ飼っちゃうよ?」
振り向いて見た顔は真面目そうなのに、僅かに口角が上がってるせいで、どことなく危ない色気があるように感じる。
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