630人が本棚に入れています
本棚に追加
「すぐ用意するから座ってて」
ダイニングテーブルの椅子に座っている間に、永戸さんは慣れた動作で私の前に食器を並べていく。
湯気の立つお味噌汁にふっくら白米、ぷっくりしただし巻き卵。ふりかけや鮭フレークの瓶なんかまで棚から取り出して置いてくれる。
その際に、あのカピバラーベイビー達を撫でていたエロさ引き立つ手が私の目前を舞うのだ。
朝からなんて刺激の強いパフォーマンス。
脈拍はドックンバックンと暴れてしょうがないので、休憩を挟もうと丁度正面上にある窓へ視線を移した。
そして驚いた。
なんと、私が住んでいるマンションがその窓から見えたのだ。この距離なら徒歩二、三分くらいか。
こんなにご近所さんだったなんて。
「あそこに水色の壁のマンションがあるでしょ?」
「え?あー、うん」
「あれ私が住んでるマンションなの。505号室だよ」
窓の外へ視線を向けていた永戸さんは、その後無表情で「聞いてないけど」と私を一瞥した。
まるで君には興味ないって言ってるみたいな目だったけど、私は知ってる。京介お兄さんは眠っている私に2パーセントおスケベをしたってこと。
つまり少しは興味もなくもないってこと。
さあ聞いてやろうじゃございませんかっ!一体私にどんな2パーセントをしたか!
「あ…、先にそれ取ろうか」
「…え?」
全ての用意ができたようで正面に座った永戸さんだったが、私を見るなり苦笑し、「ちょっと待ってて」と立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!