忍者の末裔

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 デスクに戻って事務処理に移ったが、脳がうまく機能してないのか、キーボードを打つ指の動きが鈍い。  これはカフェイン摂取がいい気がして、給湯室に向かうことにした。  今日も残業で間違いなさそうなのでインスタントコーヒーはスプーン三杯。  熱々のお湯を注いでかき混ぜるとコーヒーの香りが鼻腔を通った。  鼻から息を吸って口からゆっくり息を吐き出すと、頭に思い浮かんだのは朝のええ男度ましましだった京介お兄さん。  いつもは自然と頬が緩むのに、今朝気持ち悪い認定をされてしまったのでため息しか出てこない。  私は昨日からだめだめでござる…。  そういえば昨日スーパーで買ったものも多分居酒屋に置いてきちゃったし。ばかだなぁ。  きっとあのヨーグルトも『僕ちんを常温で置き去りにするなんて、絶対ゆるさない…』と怨恨を抱いているだろう。  お酒もほどほどにすれば良かったし、口を慎めばよかった。  そうすれば。 『飼ってほしいって他人に言ってしまうのも普通じゃないっていうか』  あんなドン引きの目をされることもなかった。 「ああもうやだ人間やめたい。飼われたいよ…」  誰もいないことをいいことに、投げやりな事を口にしてしまうと「まじか」と背後から声がした。  驚いて振り向けばそこには冴島さん。  って、えーっ!人居たの!?  この男、気配の消し方忍者すぎないか!?
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