第4章 シンクロ

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「おっ、やっと出て来たわね。待ってたのよ」 長期間の入院の後に登校し、放課後部活動に顔を出した俺に、部長がニヤリと微笑み、その顔を見た俺は背筋に冷たいモノを感じた。 あの事件以降、顧問の不祥事で無くなるかと思われたミス研は、逆にその活躍が認められ、新しく前田を顧問に迎えた上に、部室まで与えられていた。 「じゃあ早速行くわよ」 「え? 行くってどこに?」 「いいからさっさと着いてきなさい」 部長は俺の質問を無視して、部室から出て行く。 「ほら早く行かないと、部長うるさいんだから」 副部長が俺の肩をポンと叩いた。 「ちょっと……なぁ美希、行くってどこに?」 「部室棟だよ」 言いながら美希がため息を吐く。 渋々俺たちが後に着いて行くと、部室棟の前で部長が振り返って嬉しそうに微笑む。 「さぁ、キスしなさい」 「え? 何で?」 「この学校の七不思議のうち、五つはとってつけた有り触れた話だけど、二つは信憑性があるのよ。そのうちの一つは解決したから、次は誰もいない部室棟で、どこで鳴っているか分からないけど鳴り続ける携帯電話の謎を解くことにしたの。さぁ、キスしなさい」 悪魔のような顔でニヤニヤと笑う部長。 俺は美希と目を合わせ、そして俺たちは大きなため息を吐いた。 了 ご愛読有難うございました。 葛西竜哉
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