第1章 ミステリー研究部

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「怖がっても怖がらなくても、見えるんだから仕方ないでしょ。さぁ行くわよ」 有無を言わさぬ、姉の威厳。 「え~~~。さっきも見たのにぃ~」 美希は泣きそうな顔になった。 「え? 見たってどこで?」 部長が美希に詰め寄る。 「一階の……あそこって保健室だっけ?」 美希が俺に聞いてきた。 「ああ、うん。確か保健室とトイレの前だったと思う」 記憶を辿って思い返す。 「保健室の前ね。じゃあそこに行きましょう」 部長に促され、部員たちが立ち上がった。 「え~~~やっぱり行くの?」 美希は泣きそうに顔を歪める。 「当たり前でしょ。大丈夫よ。これだけ人間がいるんだから」 その大丈夫という根拠がよく分からないけど、俺は美希を守ってやろうと思っていた。
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