筒見斐という少年

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「そうか。神谷ね。それがお前の『選択』ね」  加賀の笑みに、筒見が警戒するような顔をした。よく分かってるじゃないか。鈍そうだけど、鋭い所もあるのかもしれない。このガキも。 「じゃあ、生き返ったあとの神谷を見てみるか。特別に」  加賀の合図で、何も無かった場所に、巨大なスクリーンが出現した。神の意思ひとつで全てが叶う、デタラメな世界観に、筒見が呆気に取られている。  その背後で、無邪気に眠り続ける神谷を目の端に入れながら、加賀は言った。 「これを見て選択を変えても、もちろんいいからな」  むしろそうしろと神は思っているのだろう。 (反吐が出るな。の悪趣味ぶりには)  心の中で罵りながらも、加賀もスクリーンに映るものを見つめる。  さて。神は何を見せつけようというのか。見るからに善人そのものの、気の弱いこの男に。    
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